裏設定資料集
「ファーレシア英雄列伝」の隠された謎や裏設定に迫るページ。
ネタバレ満載なのでご注意下さい。



●ムーア編●

主人公ごとのメインシナリオを知っていることを前提とした内容になっていますので、まだ6人クリアされていない人は見ないことをオススメします。
また、この文章は別の企画用に書かれたものですので、少々分かりにくい部分もあります。ご了承ください。

■「ファーレシア英雄列伝」の季節
ファーレシアには風神によって季節の概念がある。実際ゲーム中はどの時期にあたるのかについて。


ムーア編の冒頭で、「約18年の年月が過ぎた」とか出てきたと思います。ムーアは設定では17歳なのに。つまり、ムーアは殆ど18歳に近い17歳だということです。ムーアがもうすぐ18歳になるわけですから、初夏です。季節はどのシナリオでも関係しないので、ムーアのために設定されていると言っても過言ではありません。イズガルドはゼピュロス(春)生まれの18歳ですから、実はイズガルドとムーアは数ヶ月〜数週間しか誕生日が違わないんです。ちょっと意外ですねえ。

■ムーアとディーノの初対面
双子の王子・ムーアとディーノ。ムーア編の冒頭で、ムーアは「ディーノと初めて会ったときから…」などと口にする。離れて暮らしていたムーアとディーノが初めて会ったのはいつなのか、どのようなことがあったのかについて。


ディーノとソフィーヌの会話で、ムーアとソフィーヌがダンスをした、という話が出てきましたね。また、フィルラルドとソフィーヌは元々知り合いだというのが、オスカル編の2人の会話で分かりますね。実はフィルラルドはムーアとディーノを連れてマルカルド王国へ行ったことがあるのです。12、3年前です。そのとき、ムーアとディーノは初めて顔を合わせたのです。フィルラルドは2人の王子には興味がなかったわけですが、やはり外交となると息子を連れて行こうと思ったんです。生まれたときに本当だったら殺されるはずだったディーノは、心のどこかで劣等感があります。自分はムーアより下の存在なのではないか、という不安があるのです。ディーノは物心ついたころからムーアに嫉妬していますから、ムーアに対する態度が悪かったのです。ムーアはそのときのことを言っています。
■ムーアの性格について
ムーアの性格については、マスカレイゼとイズガルドの会話などで話題に上る。王子であるムーアがあのような性格なのには、一体どんなわけがあるのかについて。


ムーアは王子なのに常に敬語を遣うという、変な人物です。これは、彼が育った環境が関係しています。ムーアはマスカレイゼとその妻を両親に、イズガルドを兄として育ちました。マスカレイゼたちは自分たちが言っているようにムーアを家族のように思ってきたのです。ムーアが王子だといってもどうせ赤ん坊ですから、マスカレイゼはムーアを息子のように思ってしまったのです。マスカレイゼは双子の王子をどちらも生存させておくのは反対だったので、いっそのことムーアを自分の息子にできれば…という考えもあったでしょう。イズガルドもそれと同じ。
ところがムーアは違います。幼いムーアにとって、ある日突然出会った魅力に溢れた父フィルラルドと、自分とそっくりな弟ディーノの存在は強烈的だったと言えます。このとき、ムーアは自分の家族はこの人たちだと深く認識してしまいました。なのでムーアにとって、マスカレイゼたちは他人でしかないということです。また、マスカレイゼの妻は黙って夫に尽くすタイプの人であり、夫に常に敬語で接していたのも原因の1つです。イズガルドもマスカレイゼには敬語を遣いますし、これでムーアは人に敬意を示すのは当然だと覚えたのです。他人であるマスカレイゼにも、実の父フィルラルドにも甘えることのできなかったムーアは、望むことを望んでいると発言できない、遠慮がちで控え目な性格に育ってしまいました。ムーア編の終盤、父親のフィルラルドが、ムーアがマスカレイゼたち一家と暮らすのが窮屈だったということを指摘します。これは、本当にその通りだと言えます。ムーアにとって、家族のようで家族ではない人たちと過ごす環境は、実は居心地が悪かったわけです。ムーアが異常なほどにフィルラルドを慕うのも、ここからきているんです。フィルラルドに認められたいという気持ちが強くて、王子としていい子でいなくてはならないという気持ちが強くて、どんなときもいい子で振舞おうとしています。
ところで、ここで疑問が浮上します。それは、ムーア編でムーアが自分で「本当の兄弟はイズガルドのようだ」と言っていることです。これは矛盾していますね。言ってしまうと、このセリフは建前だと言えます。ムーアはイズガルドが自分のことを弟のように思ってくれているのは分かっているので、イズガルドを傷つけないためにこう言ったのです。ムーアはいい子ですから。
といっても、ムーアは他人に気が利かないという欠点を持っているのも事実です。これがムーアの地だと言えます。ムーアはなるべく他人に自分がいい人だと思って欲しくて、身近な人の気持ちは常に考えているのですが、関心のない人物…たとえばミリアムやロック、ワドウなどには気が利かないことを言ってしまいますね。表面ではいい子なムーアですが、本当に他人の気持ちを理解することはできないんです。
■ディーノの性格について
ムーアの性格は育った環境が影響しているが、ムーアと正反対だと言える弟ディーノの性格はどのように形成されていったのかについて。


ムーアがマスカレイゼに息子のように育てられたのに対し、ディーノはイジュランに王子として育てられました。マスカレイゼと違ってイジュランは双子の王子を生かすことに反感を持っていないので、王子は王子として育てなければ、という気持ちが強いのです。はっきり言って、ディーノは皇帝みたいに育てられてきたので、性格はわがままだと言えます。自分より上の立場である(と思っている)ムーアに敵意を抱くのもその性格からきています。ムーアが周囲の人にとっていい子だと思われることで自分の価値を確認するのに対して、ディーノは周囲に威張り散らすことで自分の価値を確認しています。父親に捨てられ、自分の存在価値に悩むのは、ムーアもディーノも共通していると言えます。
■マスカレイゼとムーア
王子を自分の息子として育てたマスカレイゼは、本心ではムーアをどう思っているのかについて。


ムーアの性格についてのところにあった通り、マスカレイゼはムーアを自分の息子のつもりで育ててきました。イズガルドと同じように、それはもう厳しく。ところがムーアが成長して、フィルラルドからムーアに王位を譲る気があることを伝えられます。マスカレイゼは本心ではムーアを手離したくなかったのですが、フィルラルドに言われて、ムーアは王子であり、自分の息子ではないことを再確認するのです。同じときに、フィルラルドにムーアがあのように遠慮がちな性格になったのはマスカレイゼの育て方に問題があったからだと言われたという設定です。そこでマスカレイゼは、ムーアへの態度を一変させてしまったのです。ムーア編でマスカレイゼは独り言でムーアの名前を呼び捨てにしますが、あれを見れば分かるように、マスカレイゼは今までムーアを呼び捨てにしていたということです。マスカレイゼはムーアにも、自分を部下として扱うようにと言っています。ムーアとマスカレイゼのキャンプ会話でムーアがマスカレイゼを「マスカレイゼさん」と呼んで、マスカレイゼがそれを正させますが、これはムーアが今までのようにマスカレイゼに接したことを注意したのです。
■ムーアの発言について 
ムーアがいつも、「仲間とは手を合わせるべきだ」ということを言っていることについて。


フィルラルドにもマスカレイゼにも甘えられないムーアにとって、同じ目的のもとに集う仲間という存在は、とても安心できるようです。ムーアは家庭環境の割に、マスカレイゼやイズガルドに対して柔軟な感情を持っています。それは、彼らを仲間だと思った場合です。パーキンスやニルスなど、城の仲間に対しても同じです。ムーアと同じように、これまで他人に甘えられなかったトランザムやレイシは、ムーアと違って仲間がいなかったんです。なので、ムーアが仲間を大切にする気持ちは彼らには理解できないということです。特にレイシは、ムーアをよく「変なヤツだ」と言いますね。ムーアは彼らの気持ちもよく分かるので、仲間として付き合っていくことで、彼らの気持ちを軽くしてあげたいと思っています。ムーアは「仲間」という関係を持ち出して自分は1人じゃないんだ、と安心したいのだと思います。
■ムーアが憎む人物とは誰か ムーア編ネタバレ
ムーアはトランザムとの会話で、「憎んでいる人間がいる」と言う。いい子で通しているあのムーアが憎む人物について。


まず答えを言うと、これはディーノのことです。ディーノがムーアを憎んでいるのと同じように、ムーアもディーノを憎んでいます。ところが、ムーアはずっとディーノに恨みはないのだと言ってきましたね? これもウソではなかったんです。ムーアは、自分はディーノに対して悪い感情を持っていないのだと信じ込んでいたのです。ところが、心のどこかでは、やはりディーノのことを嫌いというか苦手な気持ちがあったのも事実。ムーアは結局ディーノと戦う道を選んでしまいますが、こうなったのは、あのときのディーノとの会話で、自分がディーノを憎んでいるという気持ちに気づいてしまったからです。あのイベントの最後、ムーアは「ディーノのことを分かっていないのは私も同じ、ディーノのことをもっと知りたい」と言いますが、これは自分がディーノを嫌っていたことを認めたのと同時に、その思いを消したいという気持ちの表れです。その後のディーノを仲間に加えるイベントでのセリフも、自分に言い聞かせているんです。ディーノは自分の弟だから手を合わせなければならないのだということを。

■ムーアの行動について ムーア編ネタバレ
ムーアがエンディングでとるあの行動。ムーアがあのような行動に出た理由について。


自分を犠牲にしてマスカレイゼたちを守ったことですね。ムーアはもともと、自己犠牲心が強いのです。自分が犠牲になることで、他人に幸せになって欲しいという。他人にとって都合のいい、いい子で通したいという気持ちです。犠牲になると言うと聞こえがいいですが、悪く言うとカッコつけた死に方をして、後の英雄になりたがるタイプです。ムーアは自分が魔神を倒すのが当然だと思っているのですが、これも自己犠牲心です。ムーアはこの戦いで死んでも構わないと思っていたんです。魔神を倒して平和を取り戻す英雄になりたいと思っているわけですが、ただ勝つよりも自分が死んだほうが他人にいい人だと思われますよね? この極端な考え方は、騎士の家で育ったのも大きく影響しています。戦いで死ぬことこそが美徳、みたいな。自分のことを省みず、病のレイシに手を差し伸べるのも犠牲心です。話を戻しますが、ムーアはエンディングのラストで結局アルビエラに戻ってきますね。これは、ムーアの異常な犠牲心に気付いたバルサザールが、これはいけないと思い、自分の力でムーアを地上に戻したのです。

■レイシについて ムーア編ネタバレ
謎の多いキャラクター・レイシ。人付き合いが苦手な彼女が、ムーアの仲間となった理由について。


レイシの身の上についてはゲーム中に出てきた通りなので、省きます。人付き合いが苦手なのは身の上も関係していますが、なるべく人に病をうつしたくないから、という気持ちもあって人とは距離を置こうとしています。では、なぜムーアの仲間になったのか。今まで彼女は、他人から迫害されてきた記憶しかないんです。そこへ、自分のことを気遣ってくれる人物が現れた。レイシはムーアならば自分のことをわかってくれるかも知れないと期待して、彼のもとに身を寄せました。病のことをずっと黙っていたのは、知られてしまって今までのように迫害されることを恐れたからです。半信半疑といったところでしょうか。レイシがムーアに対して抱いている感情は、父親を慕うようなものですね。レイシはムーアを父親のように頼りにしていたのです。彼女がときどき自分を卑下してムーアに甘えるようなことを言うのも、ムーアに叱ってもらいたいからです。
では、ムーアはどうなのか。ムーアがレイシにこれだけ優しくするのは、彼女が自分に似ているからです。他人との間に壁を作ってしまい、自分を1人だと思っている。だから放っておけないんですよ。同じことがトランザムにも言えます。ディーノもそうですが、ムーアは彼を憎んでいるので、ちょっと状況が変わってきますね。ムーアがレイシに対して抱いている感情は、レイシがムーアに対して抱いている感情と比較すると恋愛感情に近いです。



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